終活は、自分が身の回りのことが思うように出来なくなったり、病気になって自分の意思をうまく伝えられなくなったりした時に備えて、ご自分の希望を判りやすく伝えるために、一般的にはエンディングノート(終活ノート)と呼ばれるものを作成します。具体的にどのようなことを書いておけば良いのか誰でも判るように、いろいろな会社から販売されています。たとえばコクヨから出ているものは、終活に限らず若い人でも役立つように「もしもの時に役立つノート」というネーミングで、その構成は次のようになっています。
1.エンディングノート(終活ノート)の作成
項目 |
書いておく事柄 |
項目 |
買いておく事柄 |
1.自分のこと |
・生年月日
・本籍地
・家系図
・マイナンバー
・ライフイベント(結婚など)
・人生のターニングポイント
・思い出話
・人生観 ・趣味
・特技
・コレクションなど |
3.気になること |
・携帯/パソコンについて
・WebサイトのIDについて
・宝物・コレクションについて
・ペットについて
・生活のことについて |
4.家族/親族 |
・家族一覧
・親族一覧
・親族表
・命日/親族メモ
・冠婚葬祭メモ |
2.資産 |
・預貯金について
・口座自動引落しについて
・有価証券
・その他の金融資産について
・不動産について
・その他の資産について
・借入金・ローンについて
・クレジットカード・電子マネーについて
・保険について
・年金について |
5.友人/知人 |
・友人・知人一覧
・その他の連絡先一覧 |
6.医療/介護 |
・健康管理について
・告知・延命処置について
・介護について |
7.葬儀/お墓 |
・葬儀について
・お墓について
・葬儀・お墓メモ |
8.その他 |
・写真と各種データについて
・大切な人へのメッセージ
・メモ |
上記は項目をあげただけですが、具体的に記載することを考えると、ずいぶんいろいろなことを書き記しておく必要があることが判ります。特に判断能力が衰えた場合の成年後見制度の利用は大変重要なことですので、エンディングノートを書く際には成年後見制度のことも十分に理解しておくことが必要になります。
2.遺言書の作成
人が亡くなって相続が開始すると、遺言がなければ、民法の規定にしたがって手続が進められていきます。これを法定相続といい、相続する人や相続する分がきめられています。それに対して、遺言は「人は自分の財産を自由に処分できる」という考え方に基づいていて、法定相続より優先されます。「妻には自宅の土地と建物をあげたい」「自分が死んだら、世話になった人に財産を譲りたい」「自分の財産を社会のために役立ててほしい」等の願いを、遺言に書いておけば、かなえることができます。ただし、遺言に書いておけば何でもできるわけではありません。財産に関する法律行為が主な事項です。また、自筆証書遺言は効力を争われるケースもあり、自分の意思を確実に実現させるには、遺言に対する理解を深め、周到に準備することが必要になります。
遺言の効力が発生する時には、遺言者はこの世にいませんので、遺言者の意思や真意に疑義が生じないように、遺言には厳格な方式が定められています。遺言は亡くなった人の意思として尊重されますが、遺言書を書いた後、気持ちが変わることもあります。遺言は何度でも書き直すことができるので、納得のいく遺言を残されてはいかがでしょう。
詳しくは
「遺言の基礎知識」をご覧ください。
3.成年後見制度について(任意後見と死後事務契約)
加齢とともに判断能力が衰えてくるのは自然なことですが、「自分の判断能力が衰えてきた時にどうしてほしいか?」についても事前に考えることが必要な時代になりました。家で暮らしたいのか、老人ホーム等に入所したいのか、希望する入所施設があるのか、病気なった時にはどうして欲しいのか、葬儀はどうしたいのか・・・などです。
特に、独居の方は判断能力が衰えていくことに周りが気が付かない場合もあります。希望がある場合には早めにそれらを纏めて親族に伝えておくか、親族がいない場合は任意後見契約等を結ぶことが望まれます。
エンディングノートに書き記しておく事柄と重なることがたくさんありますので、是非
「成年後見」についてお読み下さい。任意後見制度の利用や死後事務契約についても、記載されています。